江戸押絵

江戸押絵
江戸時代より「歳の市」が行われる浅草周辺で多く生産されてきた江戸押絵は、関東大震災や戦災による疎開などのため、現在は生産者が近県にもいます。かつては江戸三座といわれる芝居小屋が浅草にあり、歌舞伎の着物、装束、風俗などを題材に、日本画の画法も交えながら発展し現在に至っています。現在の江戸押絵は羽子板、肖像画、額装、また、屏風や団扇などの装飾にも使われています。

概要

工芸品名 江戸押絵
よみがな えどおしえ
工芸品の分類 人形・こけし
主な製品 羽子板、肖像画、額装、屏風や団扇などの装飾
主要製造地域 東京都台東区、墨田区、葛飾区/埼玉県川越市、春日部市、新座市/神奈川県二宮町
指定年月日 令和元年11月20日

特徴

江戸押絵は江戸後期より、日本橋から浅草近辺で本格的に作成されてきました。浮世絵をポップアートにしたもので、絹織物などを使い、日本画の技法にて押絵の上に上絵や面相を描いて作成されます。江戸押絵は役者の似顔絵のみならず、写実的なもの、デフォルメされたもの、風景や動植物など様々なものを作成することができます。材料となる織物の様々な繊維の特性が作品に生かされています。 
役者の押絵などは、歌川派の豊原国周の頃から盛んになったようです。それらは、着物の着方、色の取り合わせ、髪型などの深い造詣がないと作成することができないといわれています。

作り方

下図を描き、糊代を考慮しながら型紙を切り出します。
厚紙に型紙をあて、土台となる型を切り出します。
切り出した厚紙に綿をのせ、絹織物などで包みます。
仕上がったそれぞれのパーツを、和紙であて紙をしながら重ねて組み上げます。
面相などを描く際には押絵に礬砂などで目留めをし、胡粉などで下地を塗り、顔料で彩色していきます。
着物の柄などの上絵は、膠と胡粉、顔料を用い、織物に合わせて調合し筆で描きます。
羽子板、額装など様々な用途に使いますが、それぞれ綿の入れ方、組み上げ方が異なります。
江戸押絵の作り方