岩槻人形

岩槻人形
江戸時代後期の雛祭りや端午の節句は、大切で賑やかな行事であり、そこで大きな役割を果たしたのが人形です。
岩槻人形は、その江戸時代後期から始まり、明治初期には、農閑期に地雛細工人が作っていた節句人形と、士族が内職的に作っていた人形の技術が合流してできたとされる雛人形が、本格的に岩槻で製造され、主に関東を中心に商われ、伝統を伝える人形の重要な供給源となりました。
さらに、明治時代には、五月人形等の岩槻人形は生産拡大の一途を辿り、国内有数の産地並びに江戸時代の面影を伝える貴重な人形の産地に発展しました。

概要

工芸品名 岩槻人形
よみがな いわつきにんぎょう
工芸品の分類 人形・こけし
主な製品 雛人形、五月人形、浮世人形
主要製造地域 さいたま市
指定年月日 平成19年3月9日

特徴

岩槻人形は、頭に取り付ける胴が大振りで、頭の輪郭も丸く、造作もはっきりとしたもの(目が大きく少し派手目な彩色)が多いのが特徴です。

作り方

岩槻人形の頭の材料は、柔らかく、脂が少なく、細かい加工がしやすい桐などの木材や、桐のおが屑に正麩糊を混ぜて練り込んだものを詰めて型抜きをし、それを乾燥させて作った「桐塑」を使用しています。それに膠と日光や熱に強く変色しにくい胡粉を塗って仕上げます。胡粉と膠の配合の妙技と長年にわたり伝承された職人の技により、仕上がりが美しく滑らかになり、人間の肌に近い感じに仕上がります。また、髪は人毛に良く似た仕上がりに近い生糸を使用し、胴には、細工が施しやすい藁胴を使用し、その藁胴を寸法切りしたものに、絹織物、綿織物で仕立てた衣裳を着付けて作られています。