鎌倉彫

鎌倉彫
鎌倉時代、中国から禅宗という仏教の宗派が伝わってきたとき、一緒に多くの美術工芸品が輸入されてきました。
そのうちの堆朱(ついしゅ)、堆黒(ついこく)といった彫漆品の影響を受け、仏像を作る仏師や、神社や寺作りをする宮大工たちが、木の器に彫刻を施し、漆をぬり重ねたのが始まりです。始められたばかりのころには、禅宗の寺院で香を入れるのに使う大きな香合等が主に作られていました。室町時代の末頃には、茶の湯が盛んになるのとともに、茶道具として広まっていきました。鎌倉彫の生活用品が見られるようになるのは、明治時代に入ってからです。

概要

工芸品名 鎌倉彫
よみがな かまくらぼり
工芸品の分類 うるしの器
主な製品 盆、皿、茶托(ちゃたく)、鉢、箱
主要製造地域 横浜市、横須賀市、鎌倉市、藤沢市、小田原市、茅ヶ崎市、逗子市、相模原市、三浦市、大和市、座間市、綾瀬市、中郡大磯町
指定年月日 昭和54年1月12日

特徴

独特の彫り技術によって表現される力強くて大胆な彫刻模様と、マコモ墨という墨を朱色の漆に蒔き付け、彫刻の立体感を強調する方法は、他の漆器に見られない鎌倉彫の大きな特徴となっています。

作り方

製造工程は、木地作り、彫刻、塗りに大きく分けられます。特徴的なものを挙げれば、模様以外の部位に刀痕を付けることや、生漆を塗った後で、炭の粉、砥の粉をまき、上塗りの乾きぎわに、スス玉等を使って、朱色の漆に古びた感じを出す技術があります。木地は軟らかく、彫刻に適したカツラの木等が使用されます。木地はろくろにかけて丸く挽く「挽物木地(ひきものきじ)」、板を組み合わせて作る「指物木地(さしものきじ)」、板から削り出して作る「刳物木地(くりものきじ)」があります。