紀州簞笥

紀州簞笥
江戸時代後期に、落雷によって和歌山城の天守閣等が炎上し、多くの道具類が灰になってしまいました。
その4年後に天守閣を再建した時、同時に、失われてしまった長持等の箱物家具が作り直されたという記述が残っています。また、和歌山県各地の町家からは、19世紀中頃の古文書や箪笥が発見されており、当時すでに武家以外でも婚礼調度品としての箪笥が和歌山で作られていたことがわかっています。

概要

工芸品名 紀州簞笥
よみがな きしゅうたんす
工芸品の分類 木工品・竹工品

特徴

キリ材は、淡い黄色の木肌が上品で美しく、軟らかく、軽いといった収納家具の素材として適した特徴を備えています。和歌山は組手等の工作が細かく正確なことでも知られています。

作り方

桐材のアクを抜き、天然乾燥して必要な幅に剥(は)ぎ合わせます。板削りをして箱に組立てるときに、優れた方法として古くから伝わる「蟻ほぞ」等のほぞ作りや溝つきが行われます。こうして本体や引き出し、扉が組立てられると、各部の仕上げ削りが行われます。最後に表面を、天然染料である矢車附子(やしゃぶし)の煮汁で染め、蝋(ろう)磨きをするといった、木の味を美しく活かす方法で仕上げます。