甲州手彫印章
江戸時代末期の「甲州買物独案内」には、甲府市内に御印版を扱う版木師の存在を示す記載があり、当時から既に職人が存在し、印章の商売を営んでいたことがわかります。
同じ時期の別の文献には、極上草入六角(草等が混入した水晶で印材として珍重された)や水牛の印材の注文記載があり、当時から各種印材による印章が甲府市内で造られていたと判断できます。
概要
工芸品名 |
甲州手彫印章 |
よみがな |
こうしゅうてぼりいんしょう |
工芸品の分類 |
その他の工芸品 |
主な製品 |
印章 |
主要製造地域 |
甲府市、西八代郡市川三郷町、身延町、中巨摩郡昭和町他 |
指定年月日 |
平成12年7月31日 |
特徴
水晶研磨術に含まれた水晶印材の製造と、印面に文字を彫る技術の発展は、ツゲ材、水牛材等にも及び、他県に見られない産業形態を構成しています。印材メーカー、印面彫刻業者、販売業者等、山梨県内にすべての業者が集まっており、現在も同様の形態で推移しています。
作り方
主要工程は、原材料のツゲ・水牛と水晶とで若干異なりますが、印面の調整、印稿、字割、字入、粗彫、印面調整、字直、仕上げ等多岐にわたっています。また、起底刀、判差刀、丸刀、平刀、さらい刀、小槌、彫刻台、棒台といった昔ながらの道具を使って、それぞれの工程が手作業で行われています。字入や字直し等特に熟練の手作業を経た印章による印影には唯一無二の趣があります。