九谷焼

九谷焼
九谷の鉱山から陶石が発見されたことと、加賀藩の職人が、今の佐賀県有田町で磁器作りの技術を学んで来たことによって、17世紀の半ば頃、九谷の地で始められたのが古九谷焼(こくたにやき)です。古九谷は加賀百万石文化の、大らかさときらびやかさを合わせ持つ、独特の力強い様式美を作り上げましたが、17 世紀の終わり頃突然作られなくなってしまいました。その後、19世紀に入ると再び九谷焼が焼かれるようになりました。
それが再興九谷です。春日山窯の木米(もくべい)風、かつての古九谷の再興をめざした吉田屋窯、赤絵細描画の宮本窯、金襴手(きんらんで)の永楽(えいらく)窯等数多くの窯が現れ、それぞれ特有の画風を作り出し、九谷焼の産業としての地位を築きました。

概要

工芸品名 九谷焼
よみがな くたにやき
工芸品の分類 陶磁器
主な製品 花器、食器、茶器、置物、酒器
主要製造地域 金沢市、小松市、加賀市、能美市
指定年月日 昭和50年5月10日

特徴

九谷焼は多色の絵が描かれる上絵付けに本来の持ち味があります。豪快で濶達な線書きの上に、緑、黄、赤、紫、紺青の五彩で施される和絵具の、重厚な輝きが、九谷焼の特徴です。九谷独特の、やや青みを帯びた素地がその落ち着いた色調で、上絵付けを一層引き立てます。

作り方

地元の陶石から磁器作りのもととなる粘土を作り、ろくろや鋳込(いこみ)等の技法で素地を作ります。色付けはより細かい絵を丹念に描き入れます。力強い白と黒の水墨画のような絵に、まだ色が出ていない状態の色絵具をそっとのせるように置きます。この絵具が炎により美しく発色し、ガラス質に変わって、白地の磁器が色鮮やかに生まれ変わります。線書きの筆使いの鋭さと、上絵具の重厚さから九谷焼が生まれます。