京黒紋付染

京黒紋付染
黒染の歴史はたいへん古く、10世紀まで遡りますが、黒紋付染として確立したのは、17世紀の初めと見られています。
江戸時代の中期以後は藍等で下染した「びんろうじ染」が中心となり、武士階級で黒紋付が愛用されるようになりました。明治時代に入ると、紋付羽織袴が国民の礼服に制定されたことで大いに広まりました。またイギリスの染色技術を習得し、フランスやドイツの染色を研究した結果から、手間のかかる「びんろうじ染」に代わって、現在の黒浸染(くろしんせん)と、「三度黒(さんどぐろ)」及び「黒染料(くろせんりょう)」の2つの技法による黒引染(くろひきぞめ)が確立しました。

概要

工芸品名 京黒紋付染
よみがな きょうくろもんつきぞめ
工芸品の分類 染めもの
主な製品 着物地、羽織、ネクタイ、腕章
主要製造地域 京都市、宇治市、亀岡市、久世郡久御山町他
指定年月日 昭和54年8月3日

特徴

生地は絹織物です。化学染料を用いても、深みや微妙な味のある黒色を出すために、紅または藍等の下染も行っています。紋章上絵付けは、手描きの場合と型紙による型刷りの場合とがあります。

作り方

白生地を引っ張って木枠にかけ、蒸気で幅出しをします。ついで反物のまま、紋章の部分が染まらないよう糊を置いて防染してから、「浸染」あるいは「引染」をします。「浸染」は、紅または藍で下染してから黒染料に浸す方法です。「引染」は刷毛による染め技法で、紅または藍の下染後、黒染料を塗ります。植物性染料と媒染(ばいせん)染料をそれぞれ2回以上塗るのが「三度黒」です。紋章上絵は最後の工程で描かれます。