京うちわ
京うちわの始まりは、南北朝時代に遡ります。当時、明と呼ばれていた中国や朝鮮沿岸地を荒らし回っていた倭寇(わこう)という日本人の海賊によって、西日本にもたらされた朝鮮団扇(ちょうせんうちわ)が紀州から大和を経て、京都の貴族の別荘地であった深草に伝わったのが始まりと言われています。
柄が中骨と一体ではなく後から取り付けられる、挿柄という構造が、京うちわ独特のものに定着したのは江戸時代以降のことです。これは、宮廷のための絵を描く土佐派、狩野派等の絵師が絵を描いた「御所うちわ」が始まりと見られています。その後間もなく、庶民の使ううちわとしても広まり、今日の京うちわの基盤が確立されました。
概要
工芸品名 |
京うちわ |
よみがな |
きょううちわ |
工芸品の分類 |
その他の工芸品 |
主な製品 |
うちわ |
主要製造地域 |
京都市、南丹市 |
指定年月日 |
昭和52年10月14日 |
特徴
京うちわは、豊かな風土と文化・歴史に育まれながら、今日もなお作り手たちの技と心で常に新しいデザイン感覚を付け加えています。単に涼むための用具としてだけでなく、優れた美術工芸品として私たちの目を楽しませ、生活に華やかさと潤いを与えてくれます。
作り方
京うちわは、上質の割竹の上端に、刻みを入れて割った細骨を1本づつ放射状に並べ、箔、手彫り、手描き・木版画等で加飾した表紙を張り、竹へらで骨の両際に筋を付け、各種の型に化粧断ちし、周囲に細い薄紙を巻き、柄を差し込んで完成します。