名古屋黒紋付染
江戸時代の初め頃、現在の名古屋市を中心にした地域をおさめていた尾張藩の藩士が、徳川家康から尾張の紺屋頭に認められ、尾張藩の旗印や幟(のぼり)等の染色品を作るようになったことに始まります。
その後、江戸時代末期には、藩士や庶民の黒紋付染が行われるようになりました。19世紀中頃には組合組織が作られました。
概要
工芸品名 |
名古屋黒紋付染 |
よみがな |
なごやくろもんつきぞめ |
工芸品の分類 |
染めもの |
主な製品 |
着物地、羽織 |
主要製造地域 |
名古屋市、西尾市 |
指定年月日 |
昭和58年4月27日 |
特徴
家紋を描き入れた時の紋の染際をきれいに染め上げるため、浸染(しんせん)では初めから家紋の形の紋型紙を使用します。名古屋独特の紋当網付(もんあてあみつけ)技法で染めるので、染色時間も長く、黒色がしっかり染まっています。引染(ひきぞめ)では紋の形に防染糊(のり)を伏せて、黒の色艶の優れた「トロ引黒染(くろそめ)」で染め上げます。
作り方
「浸染」と「引染」があり、紅または藍の下染をします。「浸染」では紋を付ける部分に紋型紙を生地の両面から貼り合わせ、金網を当てて締付け染料液に長時間入れて染め上げる紋当網付技法を行います。 「引染め」では紋の部分に防染糊を伏せて三ツ引黒染やトロ引黒染技法で、刷毛を使用して染め上げます。その後で白く残った部分に紋章を手描きで入れます。