南部鉄器
17世紀初め、現在の岩手県盛岡市を中心とした地域を支配していた南部藩が、盛岡に京都から茶釜職人を招いたのが始まりです。
その後、各地から多くの鋳物師、茶釜職人を南部藩に呼び寄せ、武器や茶釜、日用品を作らせました。有名な南部鉄瓶は18世紀になって茶釜を小ぶりにして改良したのが始まりで、手軽さから広く用いられるようになりました。
一方、伊達藩の支配下にあった現在の岩手県奥州市にあたる地域でも、日用品の鋳物の生産が盛んで、明治時代以後は両産地の技術交流が進み、昭和30年代には盛岡と奥州両方の土地で作られた鋳物を総称して南部鉄器と呼ぶようになりました。
概要
工芸品名 |
南部鉄器 |
よみがな |
なんぶてっき |
工芸品の分類 |
金工品 |
主な製品 |
茶釜、鉄瓶(てつびん)、花器 |
主要製造地域 |
盛岡市、奥州市 |
指定年月日 |
昭和50年2月17日 |
特徴
「質実剛健」「丈夫で長持ち」これが南部鉄器のイメージです。また茶の湯釜や鉄瓶に描かれている、様々な絵柄や美しく並んだ粒が描き出す「霰(あられ)」の文様は、作る人々の心の機微と温もりを感じさせてくれます。
作り方
南部鉄器は鉄を素材にした鋳物で、今日でも焼型、乾燥型の方法で、文様押し、肌打ち、漆仕上げ等の工程を経て作られています。中でも鉄器の錆(さび)を防ぐための「金気止(かなけど)め」は、約900℃の炭火の中に30分位鉄瓶を入れておく、南部鉄器独特の技術です。