十日町明石ちぢみ
19世紀の終わり頃、京都の西陣の夏用の反物の見本を持ち帰り、もともとあった十日町透綾(とおかまちすきや)という織物の技術に応用して、新商品の試作研究が行われました。
この時以来、緯糸の強撚(きょうねん)と整理法の技術研究が熱心に進められ、すでに十日町で織られていた撚透綾(よりすきや)を改良して、緯糸に強撚糸を使用した新地風(じふう)「透綾ちりめん」の試作に成功し、明治中頃から「明石ちぢみ」と名付けられ市場に送り出されました。
概要
工芸品名 |
十日町明石ちぢみ |
よみがな |
とおかまちあかしちぢみ |
工芸品の分類 |
織りもの |
主な製品 |
着物地 |
主要製造地域 |
十日町市 |
指定年月日 |
昭和57年11月1日 |
特徴
戦前まで、独特な清涼感を持った優雅な夏の着物の代表として、一世を風靡しました。戦後、生産は次第に減少したものの、その製造技術は十日町固有の伝統として受け継がれ、今なお、根強い支持を受けています。
作り方
模様の表現方法は十日町絣と同じです。基本的な違いは撚糸(ねんし)の方法にあり、明石ちぢみの緯糸は、まず下撚(したより)として1メートル間で300回くらい撚(よ)った右撚、左撚の片撚のカセに巻き整えます。そして生糸のまま、所定の色に柔軟染めをし、カセになった糸の目方の30~40%の植物性の調合糊を手でたたきながら、ムラなく染み込ませます。さらにこれを八丁撚糸機(はっちょうねんしき)で、1メートルの間で3,000~3,500回くらいの撚(よ)りをかけます。