若狭塗
若狭塗は、江戸時代の初めに若狭湾のそばに位置していた小浜藩の漆塗りの職人が、中国の漆器作りの技術にヒントを得て、海底の様子を図案化して始めたものです。これに改良工夫を重ねて生まれたのが「菊塵塗(きくじんぬり)」で、さらにその考案者の弟子によって「磯草塗(いそくさぬり)」があみだされました。
17世紀の中頃には卵の殻や金箔や銀箔で加飾する、という現在まで伝わる方法が完成しました。当時の藩主がこれを若狭塗と名付け、足軽の内職として保護奨励したところから、「菊水汐干(きくすいしおぼし)」などの様々な上品で美しいデザインが考案されました。
概要
工芸品名 |
若狭塗 |
よみがな |
わかさぬり |
工芸品の分類 |
うるしの器 |
主な製品 |
花器、茶器、酒器、箸箱 |
主要製造地域 |
小浜市 |
指定年月日 |
昭和53年2月6日 |
特徴
若狭塗は、卵の殻、青貝、マツの葉、ヒノキ葉、菜種等を使って模様を作り海底の様子をあらわします。またそこには、星のように、あるいは宝石のように、金箔が光っています。手仕事なので、同じ品はありません。
作り方
青貝や卵の殻を散りばめ、青・黄・赤の色漆を塗り重ね、金箔で包み、その上に上等な漆を数十回塗り重ね、砥石と特殊な炭で研ぎ上げ、最後に艶を出し、無地の部分に上塗りを施して仕上げます。1年の長い年月をかけて製作されるため、熱や水分にも変化することなく、堅牢優美な高級漆器が出来上がります。